クルミを割ったことのない日々

思いついたことを好きなだけ

図書館備忘録

少し遠くの図書館まで自転車で訪れた。
住んでいる地域でその図書館にしか目当ての本がなかったから、というのが1番の理由。
それなら近くの図書館まで取り寄せという便利な方法もあるのだが、運動にもなるし、どんな図書館か確認してみたいという気持ちもあった。

暑い中はるばる来たが、開館してる?と思うほどひっそりとして人気がない。外観も古びていて、併設の施設などもないのでポツンとただそこにある。
恐る恐る建物の入り口に近づくとドアが開いていたのでよかった、やっている。

中へ入ると弱めにクーラーが効いていて、少し薄暗い。陽射しが強いのでカーテンが閉まっているせいだろう。でも、それだけでないここだけに流れている空気や時間が、気温以上に外との落差を感じさせる。
いつもの図書館がチェーン店のカフェなら、この図書館は町にある小さな喫茶店。常連がいつもいて、新参者が入るのを拒むような一旦見据えるような。さらに、図書館ならではの静けさが、ここは他より抜きん出ている。

わずかな緊張感を持ちながらも、図書館カードというパスポートを持参しているので臆せず奥へ進む。
外観もそうだが本棚しかり、全体によく言えばレトロな作り。在庫検索機も見当たらなかった。もしかしたらあったかもしれないが、あまりキョロキョロしたらよそ者だとバレそうでできなかった。もしかしたらとっくにバレていたのかもしれない。

職員はどうやら2人。受付におじいさんが1人何するでもなく座っている。もう1人のおじいさんは本棚に返却本を戻す作業など忙しなく動いている。
常連風の先客たちは、座って分厚い本を読んでいるおじいさん、新聞を読んでるおじいさん、おじいさん……ここにはおじいさんしかいないのか?

置いてある本も、他の図書館とどこか違う。どおりで目当てのマニアックな本があるわけだ。
おじいさんセレクトなわけでは無いはずだが「いい本置いてますね」と受付じいさんに言いたくなる。
「そうだろ?…アンタもこの本選ぶたぁわかってるねぇ」
なんて返事をくれるだろうか。

結局、目当ての本以外も借りることにして受付に行った。
さっきまでジッと座っていたのに無意味に立ち上がっていたようで、私が近づくと慌てて定位置に戻る受付じいさん。側にいた片付けじいさんに危うく仕事を取られるところであった。腕だけやけに振るじいさん小走りを見ることができたので、じいさんには悪いがこのタイミングで受付に来てよかった。
そう、私は「おじいさん」が結構好きなのだ。

 

今回は何せ遠かったので返却もまた行くのは少し考えものだが、たまには遠くの図書館も悪くない。
もっと自分好みの図書館があるかもしれないので、また新規開拓するかな。