クルミを割ったことのない日々

思いついたことを好きなだけ

母の怖い写真

お題「思い出の一枚」

 

トラウマになっている写真がある。

母の持っている古いアルバムで、母の学生時代の写真が何枚も貼ってあるその中の一枚だ。

 

初めて見る母の若い頃というのは、幼い私に驚きと不思議な高揚感を与え、友達と屈託無く笑っている母を見るのがなぜか嬉しかった。

しかし問題となる写真は、そんな母が高校の修学旅行で撮ったと思われる数枚の中にあった。

 

見た瞬間、その異様さに目を奪われた。

「お母さん!これ…何?」

「あぁ、それね」

母は最初何なのかはっきり言わなかった。

写真を見つめ続ける私に母は軽く説明したが、当時の私の理解には及ばなかった。

(どうなってるの?これ……)

 

その写真を詳しく説明しよう。

 

草原にいる一羽のアヒルが中心に捉えてられている。

そのアヒルの顔が……母なのだ。

 

何のこっちゃとお思いでしょう。

要するに、顔ハメパネルのアヒルの顔部分に母が顔をハメて撮った、そういう写真です。

 

何じゃそれとお思いでしょう。

いや、めっちゃ怖いから。

今もってしてもアレだけビッチリ上手くハメてる顔ハメパネル写真見たことないし、そもそも幼い私が初めて見た顔ハメ写真で仕組みもわからないし、何より無駄に上手く撮れてる。写真の色褪せ具合も相まって一枚の絵みたいになってるのも余計怖かった。まるで人面アヒルだもん。

 

母の許可さえ取れれば多くの人に見て欲しいくらいだ。

あぁ、伝わらないんだろうなぁ、この怖さ。