クルミを割ったことのない日々

思いついたことを好きなだけ

焼き芋

この冬こそ焼き芋屋さんの焼き芋をたべるぞー!

と思っていたのに、全然いない。どこ行った?この冬一度も見かけていない。

かといって、スーパーの中で売ってるのは違う気がして手を出していない。

 

そんな中「どうしても焼き芋」の気持ちになってしまい、煮て食べようと買っていた小さめのさつまいもで焼き芋もどきを作ることにした。

 

「焼き芋 レンジ 簡単」の検索結果で出てきた適当なレシピを参考にする。

ふむふむ、濡れたキッチンペーパーでくるんで?ラップを巻いて、、、ほうほう。

とりあえず言われた通りにして、待つこと10分強。

熱々のラップに包まれた芋を取り出す。

「あれ?ちょっと爆発してる……」

恐る恐るふやけた皮をむくと

「むむ!固い?!」

一部はホクホクなものの、中心部がやけに固い。

「結構チンしたのになぁ」

半分は食べられたが、残りはどうにも固い部分がある。

やれやれ、と思いながらレンジでもう1分加熱。

もういいだろう、とレンジの扉を開けるとなんだかお煎餅の匂いがする。違う、焼きトウモロコシかな??あ!わかった!焦げた匂いだ!

 

ラップから出てきたソレは見事にカッチカチであった。水分が飛んで固くなったと、なぜさっき気づかなかったのか。

本物に似せた木彫りのオブジェ、に似せた本物ができあがった。これだけ乾いていればしばらくは飾れるかもしれない。香ばしい匂いを放っているので、うまくいけば脱臭炭的な仕事もこなせる将来性も見え隠れする。

可能性は未知数ながら、焼き芋としての道は完全に絶たれたかに見えた。

 

いや、まてよ。水分を失っているのだから、水分を与えてみては?

 

『100円で腹を満たせるこの時代に、私は、萎びた芋を食べたいのです』

 

マグカップにミイラ状のソレを入れお湯を注ぎ待つ。

約10分後。

静かにカップに沈むソレを取り出してみる。カップには謎の茶色いダシがでている。

かぶりついてみるとやはり中心部は歯が立たない。外側の少しふやけた部分を食べてみる。

「……こいつ……死んでる」

 殺したのは私だ。オブジェでいた方がまだ幸せだったかもしれない。

芋よ、申し訳ない。

だけど久々にこんなまずいもの食べたわ。