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やすらぎの郷、ようやく終わる

録画しておいて気が向いたときにちょっとずつ観ていたテレビドラマ『やすらぎの郷』を1年近くかけてようやく観終えた。全129話。

 

↓『やすらぎの郷』を知らない方はサイトから引用したこちらを参照ください。

 テレビ人専用の老人ホーム『やすらぎの郷 La Strada(ラ・ストラーダ。イタリア語で『道』の意味)』に暮らす老人たちは、厳正な入居資格を通過した、穏やかで心やさしい人物ばかり。しかし、そうはいっても、かつて“蝶よ花よ”とおだてられ、華麗な一時代を築いた彼らだけに、一皮剥けば何が飛び出すかわかりません。
 ドラマは、菊村の視点で、ホームで起きる悲喜交々の出来事を紡いでいきます。テーマは家族、財産(遺産)、過去への想い、恋、死への恐怖、芸術への心残り――など多岐に渡り、『やすらぎの郷』というタイトルとは裏腹に、まったくやすらぐことのできない日々に翻弄される主人公・菊村の姿をユーモラスに描きつつ、随所に倉本氏からのテレビ界に対する提言や珠玉のメッセージがちりばめられていきます。

イントロダクション|やすらぎの郷|テレビ朝日

 

見どころはなにより老人の日常悲喜こもごもを総出演ともいえる名優たちが演じているところだろうが、私はこのドラマの良さとして見逃しても全く問題ないところを推したい。

平日の昼ドラとして30分ずつ放送していたが、開始1分ほどで前日のあらすじをパパっとやってくれるので、なんならそれだけ観ていれば128分で済んであとは最終回だったのではないか?そのくらいの気楽さがよかった。

 

たしかに主人公の石坂浩二演ずる菊村先生は毎週大変頭を抱えていた。でも翌週には前の週の問題など忘れたかのようにけろりとしていて、まるでその問題に触れなかったりもする。

ある時など、唐突に熊出没騒動を2日くらいやっていた。その間、熊の姿は1秒たりとも映らないし、熊による被害もなくその後の伏線というわけでもない。なんだったんだ。

そんな感じで「あの話何だったんだ」はちょくちょくある。

死を扱ったそれなりに重い話やたまには泣けるような良い話もある。でも全体を通せば半分くらいはそんな実にどうでもいいエピソードで、正直何があったか詳しく思い出せない。だからこういう展開になってほしい!とかもほぼない。おかげで観ていて疲れないし観終えて即日常に戻れる。

では何が面白くて見ているかと言えば、自分もこの老人たちのコミュニティに参加した感覚を味わえるところかもしれない。コミュニティ内の騒動や噂話は実際の生活だと人間関係など面倒も併せ持つが、ドラマ内なら内情をわかりつつも完全に他人事。クセのある人物たちと浮世離れした環境のため誰にも感情移入することなく、ほどよい非現実感を保ったまま炭酸水くらいの刺激を心に与えてくれる。まるで目的のないシミュレーションゲームだ。そこがいい。

 

とはいえ、どうしても納得がいかない回もあった。

やすらぎの郷バーテンダーとして働くニコニコと可愛い女の子、松岡茉優演ずるハッピーちゃんが大変に酷い目に遭うエグいエピソード。(気になる方はカッコ内反転かコピペでどうぞ→見知らぬ男達に強姦される)

は?うそでしょ?倉本聰どうした??と、この時ばかりは本気で憤ってしまった。それでいて深刻な感じで一週間やったらハッピーちゃんはなぜか笑顔で職場復帰し、菊村先生のナレーションで「このことは忘れてください」で締めくくられた。いやいや、無理でしょ。忘れていいようなエピソードなら描かないでほしかった。このエピソードだけは絶対要らなかったと根に持っている。

 

そんなこんなしているうちに最終回をわりと唐突な印象で迎えた。

菊村先生が孫ほど年の離れた女の子に恋心を抱くというまぁ滑稽で何だか薄気味悪いエピソードが未終結のままだったが、ついに最終回でその子と旅館に泊まる事になった。

うえぇ倉本聰はとうとうどうかしてしまったのか、そう思っていたところ……!

いやはや、これには恐れ入りました。この気持ちまで導かれていたのだと思ったらさすがとしか言えない。

この最終回を観て、ここまで諦めずに観てきてよかった!良いドラマじゃないか、と思えた。

ハッピーちゃんのことさえなければね!!

 

そんな『やすらぎの郷』のシーズン2が来年の2019年4月から始まるらしい。

たぶんまた見逃しても大丈夫だろうし、シーズン1観てなくても大丈夫そう。

本当はリアルタイムで雑に見るのが一番向いているドラマだとは思うけど、また録画してボチボチ観ちゃうかな。