クルミを割ったことのない日々

思いついたことを好きなだけ

妖精

今週のお題「読書の秋」

 

面白いと勧められて読んだ漫画『百万畳ラビリンス』。

たしかに面白かった。主人公の礼香の奇人ぶりがはじめ受け入れ難かったけど、そのキャラにも理由があったので納得。青年コミック慣れしてない身としては、ん?と思う部分は多少あるが、少女コミックも男性からしたらアレだろうしそこはまあいいや。でもテレビゲームの経験が無い人は何してんのかわかりづらいかも??私はゲームもあんまりだけど、そもそも頭良く無いので理解しきれてないとこがあるかも……。それでも一気に上下2巻を読みきってしまうくらいストーリーが最後までしっかりと異世界に引き込んでくれた。

 

これを読んで、なんとなく思い出したことがあった。

昔、仲良くなったばかりの友人の家に遊びにいき2人で会話をしていると、唐突に友人からこう告白された。

 

「私、妖精見たことあるんだ」

 

急なことだったので、冗談かと思い

「ええ?!へへっ」

とよくわからない反応をしてしまった。

しかし友人は真顔で

「信じてくれないならもういい」

と拗ねたので、私は慌てて

「信じる信じます、どこでみたの?」

と女性のご機嫌取りに必死なおじさんみたいになって聞くと

「そこにいた」

と部屋の隅を指差した。

私はどう反応していいやら、もしやおちょくられてるのでは、と隅を見つめてながら言葉に詰まっていると、

「やっぱ信じてくれないんだ」

と言ったきりその話は曖昧に終わってしまった。

それ系の話は嫌いじゃないが、直接体験者から聞いたことがなかった。そのため対応実績がなく、疑い深いくせに仲良くなったばかりの友を心から信じてあげたい気持ちとのジレンマでフリーズしたのだ。それがかえって友人を傷つけたかもしれない。

 

その友人は不思議ちゃんキャラではないがどこか掴み所のない子だった。どこまで本気か冗談かとてもわかりづらい。むしろ冗談らしい冗談をその子から聞いた覚えはない。実は冗談、これは受け手としては結構心理戦だが、友人はどこまでもまっすぐな目で話してくるので本心が見えてこない。だから妖精の話も本当か嘘か未だにわからない。本当だとして真っ向から疑われたり全否定されると悲しいから多くは語らなかった。その時の話し方はそう思わせる真剣さも漂っていた。

 

私は『百万畳ラビリンス』の礼香のようにはまずなれないが、あの子ならひょっとして、と長らく会っていないその友人をどこか思い起こさせた。

久々に友人に会って話をしてみたい。けどその時は妖精の話はやめておこう。あの目で話されるとまたきっとたじろいでしまう。

 

漫画読んだのは久しぶりだけど、他にもこういうのあれば読みたいな。