クルミを割ったことのない日々

思いついたことを好きなだけ

『キツツキと雨』を観た感想

昨年『滝を見にいく』を観て、沖田修一監督の作品をまた観たいと思っていた。

本当は『横道世之介』が見たかったのだけど、年末年始の疲れが出てきて2時間40分集中する自信がなく、同じ監督作品の『キツツキと雨』にした。

f:id:oki_nikki:20180109154049j:image

 

いくつか沖田監督作品を観て共通の感想は、力まず観られるから疲れないのに引き込まれる。『滝を観に行く』でも思ったけど、説明的なパートがほぼなく、どうしてこうなった?とかこの人はどんな人なんだろう?というのは多く語られない。映画で描かれる部分から観る人が想像するしかない。そこがこの心地良さの秘訣なのかもしれない。

そして、どこがいいとか何が見どころとか人に説明しづらいのも共通している。

なんだろなぁ…自分が好きなイケメンでもない無名俳優の良さを人に語る時の難しさに似てる。

とにかく役所広司さんはとても魅力的な役だった。かっこいいけど頑固、でも純粋で憎めないという役所さんにもってこいのキャラクター。劇中のゾンビ映画制作に大きな力になる役どころだけれど、この『キツツキと雨』という映画自体も力強く引っ張っている。

そして映画を盛り上げていくのはやっぱり「監督」にかかってるんだなと思わされた。

大御所俳優役の山崎努さんがでてくると「え!この役で出るの?」と思うけど大切な役どころになるし、ゾンビ映画がちょっと作り込まれていくとワクワクしてくるし、映画が撮り終わると清々しいけどどこか寂しい。そんな風にゾンビ映画とリンクさせて映画自体を楽しませる。劇中の監督とは違い、高度な監督の手腕を見せつけられた気さえする。(劇中のゾンビ映画は謎のカルト的人気が出て続編作りそう。)

 

くすっと笑えるシーンは多いけれど小栗旬も含め出てる役者の皆さんはちょうどいい温度で、まるでずっと入っていられる不感温浴だった。そして観終わると何となーくまた明日から頑張ろうかなって思える、そんな優しい映画。

観てよかったなぁ。

 

キツツキと雨

キツツキと雨