クルミを割ったことのない日々

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『バーフバリ 王の凱旋』を観た感想

バーフバリ

それは観ると誰もがその興奮を口にしたくなるが、言葉では言い尽くせない映画。

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私は迷っていた。

凄い映画が上映中との噂は聞きつけていた。

しかしこれまで幾度かすごい熱量をもって騒がれた映画でも波に乗り切れなかった覚えがある。

『パシフィックリム』『ガーディアンズオブギャラクシー』・・・

でも『マッドマックス』は感動するほど面白かったな。

だけどもインド映画は「きっと、うまくいく」しか観たことがない。それもバーフバリとはどう考えてもジャンルが違う。1800円は安くない。

そうこうしているうちに、バーフバリを熱く語る記事がバズっていた。

https://diehardtales.com/n/n2c2d285e4a32

 これはもう映画館に観にいくか、一生観ないか、どちらかしか後悔しない選択肢はないと感じた。

叩いていた石橋は爆破され、私は映画館へと吹き飛ばされていた。

 

とはいえ、吹き飛んでいる最中にきっちりと前編『バーフバリ 伝説誕生』を観た。「本編前に前編のあらすじあるから観なくても大丈夫」という言葉を飲み込んだうえで、やはりそうは言っても観るに越したことはない。

でも心配しないで、もう後編のチケットは購入済み。もう叩く橋もない。

 

 

「えぇ・・・なんだこれは・・・」

それまで観てきた映画の概念からはかけ離れすぎて動揺を隠せない。

あざけ笑うこともツッコむこともできる。しかしだんだんとそれは神を冒涜するかのように恥ずべき行為に思えてきた。

(いいんだよ、理屈抜きでただ楽しめば)

頭の中で誰かがそう言った。

圧倒されている内に「な、なんだってー!」という衝撃のエンディングを迎え、なんだかヤバいものを映画館で観ることになると確信した。これから見る本編(後編)への前座としての役割は十分だった。

 

映画館に行くと大盛況。劇場内は緊張と期待の入り混じる異様な空気に包まれていた。いやしかしそれは私の心が感じさせたことなのかもしれない。これは失敗できないぞ、かなりハードル上がっているぞ、と誰目線かわからない不安がよぎる。

 

前情報通り、映画は非常に親切なあらすじから始まり、前編を観ていてもよくわからなかった部分も補足された。ただいずれかのタイミングで前編も観ることはお勧めしておく。後編とは少し毛色の違う面白さもあるので。

クレジットの背景は前編の名シーンを銅像のようなCGで再現して魅せる。これは前編を観た人にはちょっとしたお楽しみだと思う。

 

そんなことより『バーフバリ 王の凱旋』の内容。

とにかくもうもう!アマレンドラ・バーフバリが笑っちゃうほどかっこいい!!

バーフバリ!バーフバリ!バーフバリ!

気づけば心は民衆の一人になっていた。

私は無宗教で信仰心も薄い方ではあるが、このバーフバリという神々しい人物がいたなら熱狂で地を揺らし、わずかな自らの食べ物さえ分け与えるだろうと思った。

強さと色気がすさまじくて、こりゃハリウッドなら主演男優賞一直線、、、というか役者?演技?彼こそがバーフバリであり男であり王であり神であるとしか思えない。

そう、思想が完全にバーフバリ信者になっていた。妻であるデーヴァセーナに少し嫉妬したほど。

ところでこのデーヴァセーナって幽閉されて狂ったのかと思ったら元から相当っていう珍しいヒロイン。あーあーそんなこと言ってーって思うけど、そこも魅力ではある。でもその勝気なとこって母ちゃんそっくり。そういう嫁姑って、とんでもなくいがみ合うかものすごい気が合うかなんだよね……。

あとは、カッタッパが「バーフ」って呼ぶの好きだな。だからこそあのシーン!ね!!

 

全体として前編よりもさらにバカ凄さが増したと思う。さすがに城に入り込む方法は笑ったけど、いいんです!!スターウォーズ観て「宇宙は音がしない」とか今更批判するのも野暮なのと一緒。

無敵の強さが時にストーリーを破綻させかねないことがあるけど、バーフバリは最強の男だからこその部分も描かれている。無敵系映画(『イコライザー』『アジョシ』『96時間』など)の最高峰と言えるのではなかろうか。

観ている間なんども叫びそうになり堪えきれないときはエア絶叫していた。アドレナリンがバシバシ出る。我を忘れて歌い踊り狂った時と同じ状態にいたと思う。そんなことしたことないけど。

 

劇中歌も非常に心地よかった。女性の甲高い歌声はヒーリング効果を感じ、戦闘シーンにかかる力強い歌”へーさんブタさん!へーさんブタさん!”(完全にそう聞こえる)は高揚感で満たされた。

この感じ、、、私、知っている。そうだ、ディズニーだ。私が大好きだったディズニーアニメ。

ミュージカルとは少しだけ違う。歌を聴かせるための物語ではなく、物語の流れの中でBGM以上の歌があるというあの感じだ。しかもそれが映画の中で自然に根付いている。

そういうところ含め、この映画の凄さたる所以は、やはりインド映画だからに他ならない。ハリウッドでリメイクしても同じものは絶対に作れない。日本の時代劇は日本人にしか撮れないように。

 

物語が終わるとスタッフロールもなく、唐突に現実に引き戻された。

場内が明るくなると、せきを切ったように興奮気味の上ずった声でざわめき始めた。映画終わりにあんなに人の声がヒャーヒャー聞こえてきたのは経験がない。

 

私もドキドキがおさまらず、くしゃみの直前くらいの呼吸で場内から出ると、他の映画を観終えたらしき青年たちがそわそわと見渡しながら話していた。

「人すごいけど何の映画だ?バーフバリかなぁ?これは観るしかないかぁ?」

 

そうです、君たち。観るしかないんです!