クルミを割ったことのない日々

思いついたことを好きなだけ

『グレイテストショーマン』を観た感想

お題「最近見た映画」

※ガッツリネタバレあります

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DOLBY ATMOSで鑑賞。

 

始まりから心わし掴みのミュージカルシーン。ヒュージャックマンのパワフルな歌声に心踊る演出。これを観にきたのよ!とのっけからノリノリで、これだけで及第点は獲得したようなもの。

そこから劇中の誰のどの歌もその演出もとても素晴らしく、歌のシーンだけで映画館で観る価値はあった。観てよかった。もうそれでいいじゃないか、とは思っている。

 

しかし、物語としてを語るなら不満は否めず。思い返せば、取って付けたように波風を立てるだけ立てて何一つ丁寧に描かれていなかった。

義父との確執、長女のいじめ問題、歌姫への心酔、家庭不和、仲間達との隔り、人種問題、近隣住民とのトラブル、、、とにかく様々な問題は起きていたのに全部「で、結局どうなった?」ってくらい消化不良。ちゃんと描かれていないどころか解決してない問題も多々ある。(まるで『やすらぎの郷』状態。伝わりづらいたとえなのはわかってる)

描いたにしても奥さんが実家帰っちゃってあわや離婚かと思ったら1曲挟んですぐ仲直りというのはどうかと思ったし、長女のいじめ問題なんてあんなにあやふやにするんだったらもはや無くてよかったとすら思う。

次女の扱いも気になった。どんな活躍するかと思ったら結果「樹の役」?いいのそれで?次女の役要る?ただ、めちゃくちゃ可愛いから許す。でもてっきりサーカスの一員にでもなるんだと思った。例えば「次女が成長してサーカスの一員になり団員と恋仲になるが父であるバーナム(ヒュージャックマン)が反対してひと悶着したことで義父の親心に気づき娘とも義父とも和解」という感じも期待できたけど、最後まで次女は活躍せず。バーナムと義父は和解しなかった、と思う。描かれてないから知らないけど。

もしこれが実話に基づいていて話を盛れないというなら家族の問題については最小限にして、サーカスシーンをもっと増やしてほしかった。だってあんなに「ユニーク」なメンバーを集めておいて皆で歌うだけ?っていうのが正直な気持ち。それもはじめっからほぼ完ぺきにショーをこなしているように見えちゃうから、はなから凄いパフォーマーを集めただけにも思える。でも本来はきっとそれなりに葛藤や苦労もある中で稽古して頑張って表舞台に立てた人達で、そんな団員達を導いたのがバーナムなんじゃないの?そういう団員達とのシーンがあってもよかったのに、なぜ無いのかが疑問。

バーナムについての描写が少ないがために、グレイテストショーマンとか言いながら彼がどういう人物なのかいまひとつわかりづらい。アイデアマンなのはわかったけど、なぜ人を魅了できるのか、なぜショーマンの夢を持っていたのか、誰にどんな感情を抱いているのか。それがはっきりしないので感情移入しにくかった。最後は完全に引退しちゃったの?仕事と家庭の両立のために相棒とダブルキャストとかでは無く?なぜ?それもよくわからない。

話が似た感じのアニメ映画『SING』も歌はいいけど物語は大したことないと思っていたけど、この映画と比べれば歌と物語はバランスよくまとまっていたと思う。あるいは『ムーランルージュ』みたいに物語のテーマは絞って、とことんショーやミュージカルシーンにしてくれてもよかった。とか色々考えると改めてわかる『シカゴ』の凄さ。

 

今回は色々盛り込み過ぎて話が散らかっちゃった感じ。登場人物が多すぎたせいか。冒頭の歌から期待が高まっていただけに、余計中盤くらいからの話のお粗末さが際立ってしまったのかもしれない。

 

とか散々文句言っておいて何だけど、歌のシーンは本当に本当によかったのでそれだけで満足感はある。歌のシーンだけはまた観たい!

 

 

 

『東京伝説 歪んだ異形都市』を観た感想

※ガッツリとネタバレあります

 

Amazonプライムで目に入ったこの驚異の評価★★☆☆☆ IMDb 1.0/10の映画。

これだけ低い評価だと逆に気になる。 プライムはレンタル店で借りるまでに至らないこういう作品を気軽にチャレンジできるのがいい。ダメだったら止めればいいという心の余裕がある。無駄にするのは時間だけ。結果、金よりも代えがたいものは失うのだが、我々には「これも思い出」という合言葉があるから強くなれる。

「我々」とは、私と夫の事だ。

夫は総合的に私の1.5倍くらいある男だがハートだけはすこぶる繊細で怖がり。本人に言わせると「怖がりではない。びっくりするのが嫌いなだけ」あるいは「感受性が豊かなんだ」とでも言うだろう。なんにせよ、テレビの『ほん怖』(フジテレビ系でたまにやる「ハイ!ゴローさん!」のやつ)を見て驚き過ぎて翌日になってもメンタルに影響が出るという実績の持ち主。だのにこの手の映画は嫌いではないらしい。今回も観ようと言い出したのは夫の方だった。

 

さて、何の予備知識もなく観始めたが、5話のオムニバスだった。

 

1話目『ぬいぐるみ』

無駄にエロかわいい感じの女の子が主人公で、この子のPVかってくらい顔アップのシーンが多い。ばっちりメイクでグロスのテカリ過ぎが気になる。

怖くなるまでが長い。『トイストーリー』に出てくる隣の家の悪ガキが作り出しそうな悪ふざけ的細工が施された「クマのぬいぐるみ」が家に届いて捨てても戻ってくる、という話を長々と説明している。理不尽でもいい、はやく怖くしてくれ。

で、いかにもすぐ死にそうなチャラめの彼氏が夜中に殺されに…もとい、ぬいぐるみを捨てに行く。もうその一連のやり取りだけでこれダメなやつだ、とはっきりわかったのだけど、怖がりの夫は先の展開を読んで恐怖し怯えていた。しかしこの後その予想は次々と裏切られていく。悪い意味で。

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絶対彼氏殺されてる!⇒え?結局彼氏どうなった?

この箱の中身彼氏の首だよね!⇒え?クマのぬいぐるみ?

いないと思って振り返るといるってやつだよ!⇒え?帰った?

2話目に続くのか!⇒え?終わった!!

 

2話目『野外』

「野外」って。タイトルもうちょい他になかった?「森の中」とか。そんで1話目に比べて急にリアルなキャスティング。野グ〇シーンあるからアイドルみたいな子はNGだったのかな。いやいや、野グ〇シーン長くない?なんていうか、そういう意図ある??

この2話目までは夫もまだ自分の想像に怯えていた。

きっと窓にバン!ってくるよ⇒来ない!

逃げて殺されるよ⇒逃げ切った!

と思いきやで捕まるんでしょ!⇒捕まってるこの人たち誰?違う人達?(微妙に似てて違いが分かりづらい)そんで、終わり!!?

 

3話目『素振り』

ここまでくるとさすがの怖がり夫も想像通りの怖い展開にはならないと気づき冷静になる。

そして永遠とも思われる謎の素振りタイムが始まった。

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もうずっとこんな気持ちだった。

ここまでくるとひょっとして作り手は「観客は勝手に怖い展開を想像するので、いつくるかと緊張させておいてあえて予想外の不条理な~」とか考えてんじゃないかと思ってちょっとムカついてきた。

そんなのいいから直球投げてこい!(素振りだけに)

この話の主人公は一人暮らしってことなんだろうけどその描写がないから、怖がり方がよくわからない。素振り男と同棲している可能性が捨て去れないし、夫はもはや怖くしたいがために一番異常性の高い「むしろ素振り男の家」という考察をしていたが、そんな深い話では絶対ない。それから1話目のぬいぐるみ男と素振り男は同一人物なのか?似てるけどどうなんだ?調べる気ないけど。

 

4話目『廃墟』

はや夫とめちゃくちゃ笑った。写真に写ってるはずないものが写っている、というシーンで問題の個所にズームしていくんだけど、最後の最後までどれなのかわからず。夫と共に「どこどこ?笑」と言って巻き戻して見直すも「コレのこと?」くらい。実際の心霊写真でももうちょいわかりやすいだろレベル。これじゃあ、おわかりいただけないよ!

それから2話目と異常者は同一人物なのか?似てるけどどうなんだ?凶器が違うから別人?調べる気ないけど。

 

5話目『ホテル』

これだけわりとよかった。というかこれ以外がひどすぎるんだけど。

 

終わってみると、隣で夫が想像で怖がってワーワー言ってたり、一緒にツッコみや文句言ったりして、そういう楽しみ方はできた。でも星2つは納得しかない。

シリーズでもう1本あるみたいだけど1人で観るのはしんどすぎるから、ニコニコ動画みたいにコメントしながら観られたら楽しめるかもしれない。でももういいかな、という気はしている。

 

 

 

 

『バーフバリ 王の凱旋』を観た感想

バーフバリ

それは観ると誰もがその興奮を口にしたくなるが、言葉では言い尽くせない映画。

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私は迷っていた。

凄い映画が上映中との噂は聞きつけていた。

しかしこれまで幾度かすごい熱量をもって騒がれた映画でも波に乗り切れなかった覚えがある。

『パシフィックリム』『ガーディアンズオブギャラクシー』・・・

でも『マッドマックス』は感動するほど面白かったな。

だけどもインド映画は「きっと、うまくいく」しか観たことがない。それもバーフバリとはどう考えてもジャンルが違う。1800円は安くない。

そうこうしているうちに、バーフバリを熱く語る記事がバズっていた。

https://diehardtales.com/n/n2c2d285e4a32

 これはもう映画館に観にいくか、一生観ないか、どちらかしか後悔しない選択肢はないと感じた。

叩いていた石橋は爆破され、私は映画館へと吹き飛ばされていた。

 

とはいえ、吹き飛んでいる最中にきっちりと前編『バーフバリ 伝説誕生』を観た。「本編前に前編のあらすじあるから観なくても大丈夫」という言葉を飲み込んだうえで、やはりそうは言っても観るに越したことはない。

でも心配しないで、もう後編のチケットは購入済み。もう叩く橋もない。

 

 

「えぇ・・・なんだこれは・・・」

それまで観てきた映画の概念からはかけ離れすぎて動揺を隠せない。

あざけ笑うこともツッコむこともできる。しかしだんだんとそれは神を冒涜するかのように恥ずべき行為に思えてきた。

(いいんだよ、理屈抜きでただ楽しめば)

頭の中で誰かがそう言った。

圧倒されている内に「な、なんだってー!」という衝撃のエンディングを迎え、なんだかヤバいものを映画館で観ることになると確信した。これから見る本編(後編)への前座としての役割は十分だった。

 

映画館に行くと大盛況。劇場内は緊張と期待の入り混じる異様な空気に包まれていた。いやしかしそれは私の心が感じさせたことなのかもしれない。これは失敗できないぞ、かなりハードル上がっているぞ、と誰目線かわからない不安がよぎる。

 

前情報通り、映画は非常に親切なあらすじから始まり、前編を観ていてもよくわからなかった部分も補足された。ただいずれかのタイミングで前編も観ることはお勧めしておく。後編とは少し毛色の違う面白さもあるので。

クレジットの背景は前編の名シーンを銅像のようなCGで再現して魅せる。これは前編を観た人にはちょっとしたお楽しみだと思う。

 

そんなことより『バーフバリ 王の凱旋』の内容。

とにかくもうもう!アマレンドラ・バーフバリが笑っちゃうほどかっこいい!!

バーフバリ!バーフバリ!バーフバリ!

気づけば心は民衆の一人になっていた。

私は無宗教で信仰心も薄い方ではあるが、このバーフバリという神々しい人物がいたなら熱狂で地を揺らし、わずかな自らの食べ物さえ分け与えるだろうと思った。

強さと色気がすさまじくて、こりゃハリウッドなら主演男優賞一直線、、、というか役者?演技?彼こそがバーフバリであり男であり王であり神であるとしか思えない。

そう、思想が完全にバーフバリ信者になっていた。妻であるデーヴァセーナに少し嫉妬したほど。

ところでこのデーヴァセーナって幽閉されて狂ったのかと思ったら元から相当っていう珍しいヒロイン。あーあーそんなこと言ってーって思うけど、そこも魅力ではある。でもその勝気なとこって母ちゃんそっくり。そういう嫁姑って、とんでもなくいがみ合うかものすごい気が合うかなんだよね……。

あとは、カッタッパが「バーフ」って呼ぶの好きだな。だからこそあのシーン!ね!!

 

全体として前編よりもさらにバカ凄さが増したと思う。さすがに城に入り込む方法は笑ったけど、いいんです!!スターウォーズ観て「宇宙は音がしない」とか今更批判するのも野暮なのと一緒。

無敵の強さが時にストーリーを破綻させかねないことがあるけど、バーフバリは最強の男だからこその部分も描かれている。無敵系映画(『イコライザー』『アジョシ』『96時間』など)の最高峰と言えるのではなかろうか。

観ている間なんども叫びそうになり堪えきれないときはエア絶叫していた。アドレナリンがバシバシ出る。我を忘れて歌い踊り狂った時と同じ状態にいたと思う。そんなことしたことないけど。

 

劇中歌も非常に心地よかった。女性の甲高い歌声はヒーリング効果を感じ、戦闘シーンにかかる力強い歌”へーさんブタさん!へーさんブタさん!”(完全にそう聞こえる)は高揚感で満たされた。

この感じ、、、私、知っている。そうだ、ディズニーだ。私が大好きだったディズニーアニメ。

ミュージカルとは少しだけ違う。歌を聴かせるための物語ではなく、物語の流れの中でBGM以上の歌があるというあの感じだ。しかもそれが映画の中で自然に根付いている。

そういうところ含め、この映画の凄さたる所以は、やはりインド映画だからに他ならない。ハリウッドでリメイクしても同じものは絶対に作れない。日本の時代劇は日本人にしか撮れないように。

 

物語が終わるとスタッフロールもなく、唐突に現実に引き戻された。

場内が明るくなると、せきを切ったように興奮気味の上ずった声でざわめき始めた。映画終わりにあんなに人の声がヒャーヒャー聞こえてきたのは経験がない。

 

私もドキドキがおさまらず、くしゃみの直前くらいの呼吸で場内から出ると、他の映画を観終えたらしき青年たちがそわそわと見渡しながら話していた。

「人すごいけど何の映画だ?バーフバリかなぁ?これは観るしかないかぁ?」

 

そうです、君たち。観るしかないんです!

 

 

 

キャスト決定

オリエント急行殺人事件』を観てきました。

www.foxmovies-jp.com


題名をよく耳にするのにまともに観たことがなかったので、この機会にきちんと観ておけてよかった。名作と言われるものはやはり魅力的な作品なんだなぁと納得。

うまいことヒントをちりばめつつも観客をだましてそして驚かせる。こんなの世に発表した当初はみんな腰抜かしたんでは?

観終わってもう一度観返したくなった。

 

見終えて色々と反芻しているうちに、日本版なら誰が良いかなぁと勝手に考えていた。まず脚本は三谷幸喜さんにお願いしたい。それなら三谷さんの作品に出たことある役者さんから選ぼうと決めた。

そこから好き勝手楽しく配役していったのだが、決め終わってから知った。もうすでに2015年に三谷さんがドラマ化していたことを。

そういえば観たかったのに見逃したんだったと思う。どうやら見逃したのが悔しすぎて記憶から消し去っていたようだ。

でももういい。それにドラマの方は設定も変えたりしていたようなので、今回は映画の役にできるだけ寄せて考えてみた。ただ、草笛光子さんと佐藤浩市さんは配役がかぶっていた。そりゃそうだ。三谷さんならそうするだろうと私が考えた配役なんだから。

 

《妄想》オリエント急行殺人事件 日本版キャスト(脚本 三谷幸喜

ポワロ:草刈正雄 

ラチェット:佐藤浩市

ハバード夫人:鈴木京香

公爵夫人:草笛光子

ピラール:深津絵里

メアリ:長澤まさみ
ハードマン:西村雅彦  

マックイーン:妻夫木聡  

マスターマン:近藤正臣

ドクター:新井浩文   

ミシェル:オダギリジョー 

シュミット:戸田恵子

伯爵夫人:松岡茉優   

マルケス内野聖陽    

伯爵:山本耕史 

ブーク:大泉洋 f:id:oki_nikki:20180115153007j:image

※妄想版キャストの集合似顔絵。いつも通り似てない。

 

そもそもは「ポアロ役は草刈さん」と思ったところから調子に乗ってこの配役決め遊びを始めた。ところが驚いたのが、今回の映画のポアロの吹き替えが草刈さんだったこと。知った瞬間うれしいような、がっかりしたような気持ちになった。(すごいアイディア思いついたと思ったらみんなすでに考えてたときのような)

そして配役は「三谷さんしばり」があるにせよ、全体的に『真田丸』に引っ張られてる感は否めない。もっとそれっぽい俳優さんもいるけど今回は豪華キャストにしたかったのでこのメンバーに決定。それでも我ながらなかなかいい出来だと思う。

この配役で観たいなぁ。でもとりあえず三谷さんの2015年ドラマ版を観たい、けどレンタルであるかしら…。

 

『キツツキと雨』を観た感想

昨年『滝を見にいく』を観て、沖田修一監督の作品をまた観たいと思っていた。

本当は『横道世之介』が見たかったのだけど、年末年始の疲れが出てきて2時間40分集中する自信がなく、同じ監督作品の『キツツキと雨』にした。

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いくつか沖田監督作品を観て共通の感想は、力まず観られるから疲れないのに引き込まれる。『滝を観に行く』でも思ったけど、説明的なパートがほぼなく、どうしてこうなった?とかこの人はどんな人なんだろう?というのは多く語られない。映画で描かれる部分から観る人が想像するしかない。そこがこの心地良さの秘訣なのかもしれない。

そして、どこがいいとか何が見どころとか人に説明しづらいのも共通している。

なんだろなぁ…自分が好きなイケメンでもない無名俳優の良さを人に語る時の難しさに似てる。

とにかく役所広司さんはとても魅力的な役だった。かっこいいけど頑固、でも純粋で憎めないという役所さんにもってこいのキャラクター。劇中のゾンビ映画制作に大きな力になる役どころだけれど、この『キツツキと雨』という映画自体も力強く引っ張っている。

そして映画を盛り上げていくのはやっぱり「監督」にかかってるんだなと思わされた。

大御所俳優役の山崎努さんがでてくると「え!この役で出るの?」と思うけど大切な役どころになるし、ゾンビ映画がちょっと作り込まれていくとワクワクしてくるし、映画が撮り終わると清々しいけどどこか寂しい。そんな風にゾンビ映画とリンクさせて映画自体を楽しませる。劇中の監督とは違い、高度な監督の手腕を見せつけられた気さえする。(劇中のゾンビ映画は謎のカルト的人気が出て続編作りそう。)

 

くすっと笑えるシーンは多いけれど小栗旬も含め出てる役者の皆さんはちょうどいい温度で、まるでずっと入っていられる不感温浴だった。そして観終わると何となーくまた明日から頑張ろうかなって思える、そんな優しい映画。

観てよかったなぁ。

 

キツツキと雨

キツツキと雨

 

 

『最後のジェダイ』を観た感想

IMAXで観てきました!

以下一番下の脚注で思いっきりネタバレあります。

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なんだかギャグみたいに思えて笑いそうになる描写はいくつかあって*1、SW好きじゃない人にはあらすじを面白おかしく話す自信はある。そのくらいストーリーはツッコミどころ満載だった。でもSWってそんな繊細な話じゃないよね?という擁護もできる。今回は特に荒く感じたけど。
狙ったギャグのシーンもあったけど、映画館内で笑い声は聞こえてこなかった。コメディ映画ではないのでなんとなく気軽に笑っちゃいけない雰囲気ではあるけど、あまりにもSWぽくないギャグのノリだからこれはちょっと??どうした?みたいな気分だったと思う、皆。今これSW観てるんだよね?という。
そういうところも含め、今回は「らしさ」「っぽさ」がだいぶ薄まって良くも悪くも新しい演出がたくさんあった。だからこそ、その新しさを嫌がるファンも多くいるかもしれない。

あと、またこの展開かというのも多く感じたかな。裏の裏やりすぎてもうそれ表!展開見えてる!*2


とはいえ、私はSW好きだけど登場人物の名前も忘れてたりする程度なので、今回のはこれはこれで楽しめたかな。でも個人的な好みの順位としては、やけに退屈に感じたエピソード2に次いで下から2番目かもしれない。

 

と、これを書いている途中で宇多丸氏の評論が気になって見たら、ほとんど言い尽くしてあったのでこれを皆読めばいいと思う 笑

www.tbsradio.jp

でもどうしても言っておきたいのは、ルークってそんな感じ?すごい自分勝手だし、よく漫画とかで出てくる「山奥で1人暮らす変わり者の仙人」そのものみたいなキャラになってて少し幻滅してしまった。
あと人無駄死にし過ぎ。特攻隊かよ。日本の歴史を思い出して嫌な気持ちになった。 

 

SF映画の観客が見事に老若男女なのはさすがSWだと思った。エピソード4が公開された当時は私と同い年くらいだったと思われるお爺さんが観に来てて、あと5分もすれば終わりそうなところで席立っちゃってて。アレだね、2時間半あるからね、尿意に勝てなかったかな。それとも内容にムカついて退場?

 

そんな感じです。でもエピソード9も絶対映画館に観に行こっと。

 

 

*1:レイアがフォースで生還するところ(ご本人お亡くなりだったので絶対死ぬと思ったからふいうちだった)と、座禅で浮かぶルーク(某宗教団体の"尊師"を思い出したり、特ホウ王国でのミスターマリックを思い出したりなど)
笑うとこじゃないですよね、すみません。

*2:特にスノークがレンを煽りすぎで反逆来るぞ来るぞ感がすごかった

『ドリーム』を観た感想

なんとなく聞いたことあったけど、ここまであからさまな黒人差別あったの?と驚かされた。まるでバイキン扱い。子供がエンガチョするみたいに、黒人が触れたものは触れないってどんなだよ。


そんな差別が当たり前になっている中、自分の中にある差別意識と葛藤しながらも夢の未来のために冷静かつ情熱的に向き合ってくれる上司役のケビン・コスナー。かっこいいーー!!ほれぼれ。
『ボディーガード』で死にかけの彼の異常な色っぽさにときめいたあの頃からだいぶ月日は流れ、久々の彼の姿に一瞬あれ?これケビンだよね?と不安になったけど、その渋さもまたよい。自分も着実に年を経てきてるのでむしろよい。
あとジム役のマハーシャラ・アリもかっこいい。スタッフォード役の彼は意地悪だから嫌い(単純)。宇宙飛行士のグレンは不安になるくらい良いやつだった。貴族みたいなイケメンが蝶ネクタイ付けて会議でもニコニコ(笑)。個人的に知り合いに似てるのも謎のおかしみがあった。良いやつキャラの映画でのパターン(バッドエンドパターンとかアナ雪の王子パターンとか)が頭をいくつかよぎって最後までドキドキさせられたよ。監督のイジワルかな。考えすぎ?

 

主人公のキャサリンはビジュアルが正統派じゃないから最初うーん、、、って思いながら観てて、しかもせっかくジムと初対面でいい雰囲気になったのにちょっとジムが失言してそれをすぐ謝ってもプンスカして再会した時もジムに超いい女風の対応してるから「???」と思ったし、この恋愛エピソード要るか?と思いながら観てた。
結果、要りました。
ありきたりな言い方だけど、自信と才能に溢れた人って魅力的に見えるんですよね。さらにキャサリンは頑張り屋さん。しかもどんどん可愛く見えてくる。恋するオンナは綺麗さ〜ってこと?
それからの、プロポーズシーン。涙腺が緩んできたけど泣いたら恥ずかしいと思って耐えてたら
「グスッ」「スンスン」
隣も後ろもみんな泣いてた。
キャサリン役の女優タラジ・P・ヘンソンすごい。

見た目で「差別」してごめんなさい。

見た目といえばキルスティン・ダンストも久々見たけどあいかわらずのブロンド美人だったな(スパイダーマンでの悲劇を私たちは忘れない)。

 

本題のストーリーは実話だってからすごいよねえ。そう、すごいなあと思うんだけど色々詳しくないからどこか漠然とはしているんだよね……。で、今何してんの?みたいな。そのせいかちょっと盛り上がるまで長く感じたり最初の成功シーンに唐突感があった気もした。中盤から引き込まれていったけど。

それでも黒人女性たちの苦悩やサクセスは今を生きる人たちの勇気にもなるし、最後は晴れ晴れとした気持ちになれる良い映画でした。

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