1995年の夏休み。
小学生だった私は初めて友人と2人だけで電車に乗って遊びに出かけた。
友人ことAちゃんは同い年だけど私よりずっとおませで、私の知らない色んな店を知っていた。初めて食べる「サブウェイ」、可愛い雑貨がいっぱいの「マザーグースの森」、そして子供だけで入る映画館。
Aちゃんと2人でやること全てにドキドキした。
映画が始まると別のドキドキに変わった。
のっけから怖さが本気出してくる。
私は思わず隣のAちゃんの手を握った。Aちゃんははじめ驚いてこちらを向いたようだったが、そのうちお互いに怖くなるたび強く手を握り合った。
それはこのシリーズをAちゃんと一緒に観る時の定番のスタイルとなった。
Aちゃんと縮こまりながら手を握り合い観た懐かしい夏の映画『学校の怪談』。
『学校の怪談』シリーズは1~4まであるが、繋がりはないのでどこから観ても楽しめる。ただ、4になると舞台が学校ではなくなり毛色は変わっているので別物感はある。
CGの技術はそのころの最先端でも今見ればチープさは否めない。でも面白さは廃れず、怖くて笑えてちょっと泣ける。
子供に初めてみせるホラー映画の決定版ではなかろうか。
大人になってから見返しても結構怖い。そして、小学生ならではの少しの年齢差や成長の差で出てくる「子供っぽさや大人っぽさ」それに付随するように「気持ちと行動のちぐはぐさ」が見えてきて、ノスタルジックになったりもする。
シリーズ通して登場人物が魅力的なのだが、小学生達はもちろん「子供達にとって良い人」な大人たちの活躍がいい。特に「子供達にとって」感は野村宏伸さんがみごとにハマっている。
しかしながら『学校の怪談』シリーズは、何といっても2と3に出てくる前田亜季だと思っている。
もはや誰もが何度となく言っていそうだが、あえて言う。
前田亜季、めっちゃ可愛い。
とにかくずるいほど可愛くて、同性同世代の私でも憧れてしまった。
『学校の怪談2』の映画パンフレットに「はい/いいえ」で作中キャラに当てはめる性格診断が載っていたが、私は何度やっても前田亜季になれなかった。それでもなりたすぎて自分の性格を捏造までしたけど、完全にそれは自分じゃなかった。実際は笛を吹いて意思表示をする男の子だった。
思えば、小学生の頃って他人に単純に憧れたり簡単に嫌ったりしていた。
そんな所がこの映画シリーズの小学生達にもあって、それが物語には大きく関わっていく。あの頃のそういった気持ちを思い出しながら、夏の終わりを少しだけ涼しく楽しめる映画だと思う。